〜 カガミクリスタル 日本 〜
カガミクリスタルは、昭和9年、わが国初めてのクリスタルガラス専門工場として、各務鑛三(かがみこうぞう)氏によって国内初のクリスタルガラス専門工場を創立されました。パリ万国博覧会金賞受賞をはじめ数々の栄誉に輝いています。
創業以来数十年の間、つちかわれた手吹き、ハンドカット、グラヴィールなどの熟達した技術は、たゆまぬ努力によってさらに磨きぬかれ、独創的な製品を創りつづけて参りました。確かな目と技がさえる職人の手を経て、一つ一つ真心を込めて丹念に作り上げられています。
創立者 各務鑛三氏は、昭和2年にドイツに留学し、日本にクリスタルガラスの透明な美しさやグラヴィール彫刻を紹介した技術者です。その後、ドイツで学んだ技術と努力によって、クリスタルのもつ特性を最大限にひきだし、芸術にまで昇華させました。
最高級クリスタルを使用し熟練された職人達の手作業によって作られるグラスは、皇室関係や日本大使館・ 首相官邸にも納品されています。世界各国の王室や大統領など要人をお迎えして催される宮廷晩餐会などは カガミクリスタルのグラスがテーブルを彩ります。
昭和12年、パリ万国博覧会金賞受賞にはじまり、ニューヨーク万国博覧会金賞受賞、ブラッセル万国博覧会グランプリ受賞など数々の栄誉に輝いた各務鑛三氏の人生が、そしてカガミクリスタルの歩んで来た日々が日本におけるクリスタルの歴史といっても過言ではありません。
宮内庁外交団 正餐用食器 迎賓館正餐用食器 海外日本大使館等公館用食器 また昭和18年には照宮内親王ご降家の際のご調度品製作を拝命し、以来皇室の御用を賜っています。昭和43年には宮内庁新宮殿・昭和49年には迎賓館並びに和風別館で公式に使用される食器をそれぞれ納入しました。国賓として世界各国の王室・大統領など多くの要人をお迎えして歓迎の晩餐会が盛大に催されますが、カガミクリスタルのグラスはこうしたおもてなしの場で日本を代表するグラスとして使用されています。
そして世界各国にある250以上の日本大使館、領事館においても使用されていることから、日本における最高級クリスタルと賞されるほど高い評価を得ております。
カガミガラスの歴史 | |
昭和9年 | 各務鑛三氏、我が国初のクリスタル専門工場を創立 |
昭和12年 | パリ万国博覧会名誉賞受賞(各務鑛三氏 作品) |
昭和14年 | ニューヨーク万国博覧会名誉賞受賞(各務鑛三氏 作品) |
昭和18年 | 皇室ご調度品製作拝命 |
昭和27年 | 在外公館再開、外務省へ在外公館備品としてクリスタル製品納入開始 |
昭和33年 | ブラッセル万国博覧会グランプリ受賞(各務鑛三氏 作品) |
昭和34年 | 皇太子(今上天皇)御成婚にあたり美智子妃殿下ご調度品製作拝命アメリカ、現代世界ガラス展入選 |
昭和35年 | 東宮御所御新築 クリスタルブリック(クリスタル建材)施工 各務鑛三氏、日本芸術院賞受賞 |
昭和37年 | 各務鑛三氏 黄綬褒章受賞 |
昭和41年 | 各務鑛三氏 勲五等双光旭日章受賞 |
昭和43年 | 宮内庁新宮殿調度食器及びシャンデリア納入 |
昭和57年 | 東宮御所調達ご贈品拝命 |
平成5年 | 皇太子殿下、雅子妃殿下御成婚にあたりクリスタル食器納入 |
平成14年 | 「江戸切子」、経済産業省より国の伝統的工芸品に指定 新「首相官邸」へクリスタル食器納入 |
〜 クリスタルガラス 〜
クリスタルガラスとは水晶のように透明なガラスという意味です。「ガラスの女王」と呼ばれる鉛クリスタルは、わが国では、酸化鉛を含んだきわめて上質なガラスのことをいいます。欧米をはじめとしてクリスタルガラスの一般的な定義は、酸化鉛(PbO)の含有率が24%以上のものとされ、この含有率の多少がクリスタルガラスの特色、価値のよしあしにつながります。カガミクリスタルの製品は、精選された高純度の原料(酸化鉛、硅石、カリなど)による最高級クリスタルガラスと、洗練された感覚のデザイン、熟達した技術によって創り出されたものです。
〜 色被せ(いろきせ)クリスタル 〜
色被せクリスタルは、無色透明な鉛クリスタルガラス(24%PbO)の表面に、更に薄く色クリスタルをかぶせる技法です。その上からカットまたは精緻なグラヴィール彫刻をほどこすことにより、下層の無色透明なクリスタルガラスが現われ、色クリスタルとの鮮やかなコントラストをつくります。色クリスタルの色調は大変重要で、カガミガラスの赤は、純金を使うのが特長です。純金でつくられた赤は金赤色と呼ばれ、冴えた色調で、無色透明なクリスタルとひときわ美しいコントラストを創り出します。そのほか、紫色はマンガンから、青色はコバルト、金茶色はセレン、緑色はクロムからと、独自の製法で鮮やかな色被せクリスタルを製作しています。
〜 宙吹(ちゅうぶき)成形 〜
型をいっさい使わず、宙空でガラスを吹きながら手によって様々な形に仕上げられていく技法で、クリスタル製法の根本となる技法といえましょう。文字通りのハンドメイドですから、形も装飾も自由自在で、つくり手のイマジネーションが最も大きく盛り込めます。言い換えれば、最も芸術的センスを要求される技法でしょう。また、この技法によって製品を成形している間に他の技法を加え、色クリスタルで装飾していくことも可能です。ガラスは、数分間の内に温度が下がって固くなります。そのため、また火の中に入れ何回も焼きもどしの繰り返し成形を続けます。数時間かけて一つの製品をつくることもあり、熟達した技能の職人でなければ扱えぬ技法の一つです。
〜 カット(切子)加工 〜
カットとは、ガラスの表面を各種のグラインダーで削って、幾何学的なパターンを彫り込む技法で、基本的には菱カット、カマボコカット、角山カットの3種類で構成されています。17世紀後半、イギリスで発明された鉛クリスタルの光沢とカット部分の反射の美しさを巧みに生かした製品を創り上げ、たちまちヨーロッパ全土を風靡しました。以来、今日に至るまで、カットは鉛クリスタルの最も主要な加工技術として、不動の地位を占めています。カットグラスのクリスタルは、光線屈折率の大きいもの、つまり良質のものでなければせっかくの技術が引き立ちません。カガミガラスのカットグラスの彫りの深さ、精密さやシャープさ、デザインの格調の高さは、戦前からすでに定評あるところです。
〜 グラヴィール彫刻 〜
カガミクリスタルで行っているグラヴィール彫刻は、カッパーホイールエングレービングと呼ばれる技法で、グラヴィール彫刻の中で最高のものと位置づけられております。この技法は回転軸にとりつけた銅の円盤に油で溶いた細かい金剛砂をつけて、グラスなどの表面に描いたデッサンを根気よく彫り込んでいくもので、更に艶だし、ボカシを施す事により、カット技法では得られない繊細で陰影に富んだ表情をもたせることが出来ます。こうした技法は、ボヘミアンクリスタルの出現とともにボヘミア地方を中心として発達し、現代でも世界の一流メーカーの中には、この技法を採用している所がありますが、技法の習得が非常に難しく、技能習得者には、クリスタル加工技術の中の、最高の地位が与えられております。
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